ポケモン映画2016感想(ネタバレあり)「ボルケニオンと機巧のマギアナ」

普遍的なテーマを扱い、子供向け、ポケモンファン向けの爽快なアクション作品として仕上げられた、すばらしい映画でした。

ネタバレのところにいろいろ書きますが、本作のテーマのうち重い部分は決して強く出ては来ず、子供にはボルケニオンの活躍やマギアナの姿、ゲンガーやニャースなどの行動がストレートに響く作品になっていると思います。

もちろんサトシたちも活躍しますし、セレナ、シトロン、ユリーカと彼女らのポケモンたち全員に、しっかりと見せ場があります。プニちゃんも例外でなく。アクションシーンのよさも、ここ数年間のポケモン映画で最高だと感じました。

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(ここからネタバレ)

強い力と、それを制御する心

最初の方で、マギアナは人の手で作られたが、戦乱の中で行方知れずに…といった説明がされたとき、平和で敵対国もなさそうなアゾット王国がなぜ戦乱に? と思いました。結局きちんと説明された記憶がありませんが、もしもの備えであったマギアナ(ソウルハート)が原因で内戦状態になったということだと思います。

本作のテーマの1つとして「強い力と、それを制御する心(理性、愛情、思いやりなどの社会的知性)」があると思います。強すぎる力を持つマギアナを作ったエリファスは、社会的知性への考慮が欠けていたことに気付きます。

どのような社会も、また人も、いきなり手にした強い力をうまく運用するのは難しいのでしょう。エリファスがマギアナを破壊するのでなく人目に触れないネーベル高原に逃がしたのは、エリファスの思い入れや愛情と、未来への期待があったのかもしれません。

マギアナはそこで、強すぎる自分の力を持て余し、隠れ棲んでいたボルケニオンと出会います。ボルケニオンもまた、力と心のバランスを欠いた存在だったのでしょう。

ジャービスたちの扱う、ポケモンを心のつながりに関係なく無理やりメガシンカさせる技術「メガウェーブ」も、心とのバランスを欠いた力であり、ポケモントレーナーには非常にわかりやすい一例です。

「父」としてのボルケニオン、「母」としてのマギアナ

ボルケニオンの声が市川染五郎さんという人選にちょっと意外な印象を持ちました。調べてみると声優初挑戦なんですね。

ボルケニオンは、昔気質の愛すべき頑固親父です。しかし単に頭が硬いわけでなく、相手を認め自分が変化することもやぶさかではない。江戸っ子(たぶん)で歌舞伎役者で、そんなに年上すぎない市川染五郎さんというのは、見事なハマリ役だと感じました。

マギアナは台詞がなく、本作の中でボルケニオンとマギアナの関係は、あまり簡単に言語化しやすい感じでは説明されません。ただ、人間に傷つけられてネーベル高原に集まってきたポケモンたちに対し、世話好きなマギアナが甲斐甲斐しく面倒をみていたと語られます。

ネーベル高原のポケモンたちを子供に見立てれば、強い力でみんなを守るボルケニオンは父親、みんなのお世話をしてあげるマギアナは母親のような存在で、2人はそうした意味でのパートナーなんだろうと理解しました。ボルケニオンがサトシたちに徐々に見せる柔軟さにも、多分にマギアナの影響があるのでしょう。

最後、心を壊されてしまったマギアナが元に戻ったのか、そうでないのかは明確に描かれませんでした。ただ、ボルケニオンが身を持って皆を守り、ネーベル高原に戻ってボルケニオンと「子供」であるポケモンたちに囲まれたマギアナは、心が壊れたままでいる必要のない状態にはなっています。最後の場面を見ていると、今度は彼らがマギアナの回復に尽くしていくのかなと思いました。

ラケル王子が寝すぎ?

ラケル王子は、メインターゲットの子供たちが感情移入しやすい歳の近いキャラクターで、そのためにいるのだと思いました。思ったんですが、わりと描写が淡白でしたね。

作中で見える範囲では、彼は単にジャービスに感化されていただけで、これといって悪事を助ける行為をしたりはしていません。ジャービスがソウルハートを取り出そうとした場面では毅然とした態度で反対しています。彼はどう見ても完全に許されるべき存在で、最後の落ち着き方を含めて不満があるわけではありません。

ただ、「さいみんじゅつ」を食らったあと大事な場面で寝すぎというか、ニャースと一緒に騒ぐのもどうか、または彼が直接目にするにはショッキングすぎるといた判断かもしれませんが、もうちょっとラケル王子が語る場面が多くてもよかったのではないかと思いました。あ、もしかすると、ストーリーが厚くて尺が足りない状態だったのかもしれません。

さておき、全体を通して「力と心(理性、社会的知性)」という誰だって人生で何度も考えることになるだろうテーマを、ポケモンらしいやり方で扱った良作だと思いました。まだ観てないのに読んじゃったよという方も、ぜひ。

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小林 祐一郎@heartlogic
息子と一緒に始めた「ブラック2・ホワイト2」で初めてポケモンに触れる。対戦を少々嗜み、好きなポケモンはコジョンド。つらい思い出の多い技は「とびひざげり」。休日はポケモンセンター周辺によく出没します。

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