ポケモン映画2017「キミにきめた!」感想。高い安定感のある“強い”物語

2017年の劇場版ポケモン「キミにきめた!」を観てきました。大変にいいものでした。

以下、ネタバレありです。

映画のパンフレットの言葉を借りれば、今作は「ポケモンアニメのアイコンであるサトシとピカチュウ」を「リメイクではなくリファイン(精製)」したものだそうです。

サトシとピカチュウが、カスミやタケシの代わりにマコト、ソウジという2人と出会い、ホウオウに会うために旅をします。現代の技術で美しい映像・音声になっているのはもちろん、ストーリーも初代ポケモンアニメのおいしい要素を贅沢に使い、「泣かせ」も豪快で濃いものになっていると思いました。

人間と人間でないものとのシンプルな関係について

今作でかなり丁寧に扱われているエピソードに、初代アニメの名シーンとしてもたびたび語られる「バイバイバタフリー」と、捨てられたヒトカゲの話があります。この2つは、特に「ポケモンとは何ぞや?」と深く考えさせられるエピソードだと思います。

動物は、種族や個体によってスタイルは異なりますが、心を許した人間に無償の愛を注いでくれます。犬は一緒に暮らす人間の世話を焼いてくれたり、リーダーと認めた人間には忠誠を尽くしたりします。猫は基本的に自分本位な動物ですが、気を許した人間にはべったりと甘えてきますし、ときには、こちらの気持ちが落ちているのに気付いて慰めようとしているのか? と思える仕草を見せることもあります。

バタフリーやヒトカゲのエピソードも、こうした人間と、そのパートナーとしての人間でないもの=ポケモンとの関係の機微がよく描かれていて、いいですね。人間対人間とは違う、シンプルで純粋で、疑いがたい関係があると思います。

わりとサラッと流れますが、ソウジとレントラー&ルカリオのエピソードもよかった。レントラーって対戦で使うとイマイチ強くない不器用さが愛おしい。マコトのポッチャマはお母さんのエンペルトのタマゴから生まれたのかなあ? みたいな微妙なひっかけ方も悪くないですね(そもそもあのお母さんは誰…!?)。

リファインで際立つ「少年少女の旅立ちと成長」というテーマ

そして、ポケモンアニメや映画が20年経ってリファインしても変わらずに描きたいことは「少年少女の旅立ちと成長」なんだなと感じました。

息子とポケモンを遊びはじめた5年ほど前に、こんな記事を書いていました(↓)。
アラフォーお父さんのためのポケモン入門

少年少女がポケモンと旅に出るのは、大人になるための通過儀礼。ポケモンは困難な旅を助け、自分を見つめなおす機会も与えてくれる大切なパートナーです。

今作の中でもサトシの敗北と挫折からの立ち直りが描かれましたが、そのときのソウジの台詞「負けたときにこそトレーナーの真価が問われる」はグッと来ましたね。そうそう、そういう面もあるよね。ひと回り成長してそれぞれの道を行く3人の別れの場面は、実に象徴的だと思いました。

今年のポケモン映画は、動物と人間の関係を描く映画としての鉄板要素+少年少女の成長物語にポケモンならではの味付けを加えた、きわめて強度のある、多くの人が楽しめる物語になっていると思いました。ツッコミどころを探せばいろいろあるけど、まーいいやそういうのは。

加えて、長く深いファンならば楽しめる細かいポイントも山ほど詰まっているんだと思います。エンドロールに登場するテレビアニメでサトシと一緒に旅した仲間たちもそうですし、自転車を壊されなかったカスミにニヤッとしたり、マコトのお母さんは誰だ? とか考え込んだりしちゃうんでしょう。

そういうポイントがあってもなくても楽しい、そして、少年少女の時代に戻って冒険をしたくなる映画だと思いました。「ポケモンがいれば、どこまでもいける」って強烈に力強い言葉ですよね。とりあえずアナハイムまで冒険に行くぞー!

このサイトの管理人

小林 祐一郎@heartlogic
息子と一緒に始めた「ブラック2・ホワイト2」で初めてポケモンに触れる。対戦を少々嗜み、好きなポケモンはコジョンド。つらい思い出の多い技は「とびひざげり」。休日はポケモンセンター周辺によく出没します。

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